時事通信社 厚生福祉 2005年3月8日号

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時事通信社 厚生福祉 2005年3月8日号
時事通信社 厚生福祉 2005年3月8日号記事
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地域を支える(489)
薬剤師の荒居英郎さん(四二)が開業した「薬局アットマーク」は、一般の薬局では市販されていない医療用医薬品を医師の処方せんなしで販売することをうたう日本で初めての薬局として、二〇〇一年十月にオープンした。厚生労働省や新潟県が「違法ではないが、好ましくない」と困惑する中、仕事で病院に行く時間がない利用者などから支持を集め、客足を伸ばしている。

通常、医療用医薬品を購入するには医師の処方せんが必要となる。しかし、薬局アットマークでは風邪薬やステロイド軟こう、アレルギー、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)の薬、老化防止に効果があるといわれる物質「コエンザイムQ10」を含む強心剤など約六百五十種類の医療用医薬品を購入できる。医療用医薬品であっても、副作用の恐れなどから「要指示薬」に指定されていなければ、処方せんなしで販売しても罰せられない「法律のすき間」があるためだ。

荒居さんが新業態の薬局開業を思い立ったのは、同県内の調剤薬局での勤務がきっかけ。「やっと仕事を休んで行った病院で、処方せんをもらうのに半日かかった」「いつもの緑内障の薬が切れそうだが、売ってもらえないか」といった訴えを耳にした荒居さんは、処方せんなしでの販売に対する切実なニーズを実感。法律を勉強して「すき間」を見極め、数万種類ある薬の中から要指示薬ではない薬を調べ上げた上で、患者の負担軽減を目指し開業に踏み切った。

医療用医薬品は市販薬より効果が高く、値段も比較的安いものが多いという。効き目が強い分、副作用の心配もあるため、完全会員制として販売に際して薬に関する丁寧な説明を心掛けるとともに、病院が発行する薬手帳を確認して不適切な飲み合わせ防止に配慮している。また、入会時に副作用が起きた場合の免責を了解してもらい、自己責任を原則としている。全く新しい業態のせいか、開業当初は利用者が思うように伸びなかったが、処方せんなしの利便性をよく知る看護師や同業の薬剤師、医師らも訪れるようになり、会員数は約千五百人にまで増えているという。

これに対し、国や県は「薬事法の精神には反するが、罰則はない」と渋い表情。県医薬国保課は 「医療用医薬品は医師が患者を診察・経過観察し、処方せんで指示した範囲内で便われるべき」と指摘し、同様の薬局が開業すれば「(販売しないよう)指導していきたい」と話す。厚労省は四月の改正薬事法施行に合わせ、販売中止を指導する立場をより鮮明に打ち出すことを検討中だ。一方の荒居さんは「医師による無診察での処方せん交付(五十万円以下の罰金)が放置されているのに、違法ではなく、医療費の節約にもつながるこちらだけを問題視するのはおかしい」と反論する。

荒居さんは薬事法改正に伴う「処方せん医薬品」(現行法の要指示薬)の指定作業を注視してきた。処方せんなしで販売できる薬が減れば、薬局の存続が難しくなるためだ。しかし、二月上旬に結果が公表され、「売れ筋の薬が一部販売できなくなるが、営業自体に問題はなかった」と胸をなで下ろした。荒居さんによると、「宣伝はせずに医療用医薬品を販売する薬局は増えつつある」という。法のすき間を突いた新しい薬局の行方が注目される。

(高橋俊昭=新潟支局)


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毎日新聞 2002年2月10日号

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毎日新聞 2002年2月10日号
毎日新聞 2002年2月10日号記事
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毎日新聞 2002年2月10日号記事

患者の負担軽減を
医師の処方せんなしで薬を直接販売する「薬局アットマーク」を昨年10月、
日本で初めて新潟市内に開業させた。
新発田市の調剤薬局に5年間勤務した。
「処方せんを書いてもらうために病院で半日もかかった」
「医者からもらった痛み止めの貼り薬が足りなくなるので、なんとか売ってほしい」。
患者の訴えを直接、耳にした。
医師から渡された処方せんを受取り、薬局で購入する「医療用医薬品」は、
一般の薬局で市販されていない。
しかし、その中でも痛み止めの貼り薬や解熱剤などは、
医師の指示を受ける必要がなく、薬剤師の判断で販売できる例外規定があった。
“法律のすき間”を調べるうち、市販薬と比較し効果が高いうえ、
約25~50%安い値段で販売できることが分かった。
「これで困っているお客さんに応えられる」

店内には医師が出すのと同じ風邪薬やハンドクリームなど在庫が約200種類ある。
効果が高いだけに、副作用への注意が必要。
会員制を採り、入会時に免責事項を了承してもらうことにしたが
すでに会員は100人を超えた。(H19年4月現在、会員数は約2500人以上)

薬の服用方法や副作用については、販売するときに指導を行う。
健康に関する相談と丁寧なアドバイスを心がけ、
時には説明が1時間以上に及ぶこともある。
医療費抑制が叫ばれている。
一方で、医師が再診をして処方せんを出すだけで2070円かかる。
保険診療で3割負担の患者ならば、
620円を処方せんをもらうだけで払う計算になる。

数万種類の薬から医師の処方せんが不必要なものを調べ上げることは、
これまで誰もやらなかった。
「薬剤師が周りと同じことをやっていれば利益が出ていた時代は
終わろうとしている」
厚労省や県医薬国保課は「違法ではない」としながらも、現行の法律では規定していなかった薬局の開業に戸惑う。
「医療の世界にも構造改革が必要だ」と指摘する。
「これまでの医療の枠組みの中で、困っている人の受け皿作りができたら」。
将来的にはフランチャイズ展開したいと意気込んでいる。

【牧野哲士】


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日本経済新聞 2008年4月11日号

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日本経済新聞 2008年4月11日号
日本経済新聞 2008年4月11日号記事
日本経済新聞 2008年4月11日号記事
日本経済新聞 2008年4月11日号記事

処方せん不要の医薬品販売
■医療用安く販売、一般業に比べ効果高く
■解熱剤や胃腸薬など、取り扱い1000種類

「医者の出す薬がすぐ買えます」――。こんなうたい文句で医療用医薬品を医師の処方せんなしで販売する薬局が新潟市内にある。経営するのは薬剤師の荒居英郎(45)。法律で医師の処方せんが不要とされる解熱剤や胃腸薬、塗り薬など約一千種類の薬を取り扱う。

処方せんがいらないといっても、基本的に医療用の薬は病院で診察を受けてからでないと手に入れることはできない。そのため、「仕事で忙しく病院に行けない」、「処方せんをもらうためだけに、病院で長時間待ちたくない」という入に重宝されている。利用は会員制だが、会員数は三年前の五倍のペースで増え、五千人に迫る勢いだ。

医療用医薬品のため、一般用の薬と比べて効果が高い。さらにメーカーが価格を決める一般薬と比べ、薬価を国が決めるため価格が安い。「ちゃんとしたものを安く買える薬局を作るのが狙いだった」と荒居は語る。

   ◇  ◇

開業したのは二〇〇一年。開業を決めてから現在に至るまで、さまざまな困難に見舞われた。

荒居は一九八六年に大学卒業後、外資系製薬会社の営業担当として新潟市に赴任した。その後十年間、病院回りを続けたが、独立を決意。薬局での勤務経験がないため、新潟県新発田市の調剤薬局で五年間修業した。

その時に、効き目のある痛み止めが欲しいのに十分に薬が手に入らないと不満を訴える患者を目の当たりにした。

「こうした患者の受け皿になれないか」。薬の本を大量に買い、膨大なら数の医療用医薬品と法律を詳細に調べると、医師の指示がなくても販売できる薬が多くあることがわかった。さらに、一般薬と比べて安く販売できることに気付いた。「これはビジネスになる」。医療用の薬を店頭で売る薬局の開業を決めた。

副作用に注意するため会員制とした。会員カードには薬歴やアレルギーを書き込み、どの薬が使えないかをすぐに把握できる仕組みを作った。販売時には使い方を細かに指導するほか、様々な相談にも乗ることにした。

ただ、前例のない薬局だったため、厚生労働省や地元医師会などの反発も強かった。開業後にはほとんどの医療用医薬品を処方せんなしでは販売できないように薬事法を改正しようとする動きまで出てきた。荒居は国会議員に働きかけ、対象とになる薬の範囲を狭めることに成功した。

経営面でも苦戦し「一人も客が来ない日が続いた」。開業から三年間は薬局で毎月貯金が数十万円程度減っていった。

   ◇   ◇

危機感を募らせた荒居販はマーケティングに取り組んだ。広告を出し、どのくらい会員数が増えたか効果を検証しながら、効率的な集客を狙った。こうした取り組みが奏功し、ようやく昨年くらいから軌道に乗りはじめ、会員数が一気に増えた。

開業当初はフランチャイズ展開も考えたが、苦労した時期に考えが変わったという。「顧客の満足度を高めるのが一番。大きくなると目が届きづらくなる」

医療費抑制の流れのなかで、今後は医師の処方せんを基に薬を販売する既存の調剤薬局の経営も厳しくなるとみる。「処方せんなしで医療用医薬品を売る薬局は増えるだろう」。こうした薬局を開業する人に、自身の経験を伝えていきたいという。
=敬称略


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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号

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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事

どうなる?処方せんなしで医療用薬を売る薬局
迫元医師会の反対で医薬品分類の見直しに発展
処方せんなしで医療用医薬品を大々的に販売する薬局が昨年10月、新潟市にオープンした。当の薬局はまだ運営が軌道にのるにはほど遠い状態だが、地元医師会の強い反対などもあって、同薬局の出現は薬事法上の医薬品分類の見直しにまで発展した。今回の一件で、薬局での医療用医薬品販売が“制限”されることになるのか。

「お医者さんの出す薬、ほしくはありませんか」。新潟寸市にある薬局アットマークの店頭には、こう大書されている。ガスター、ポンタール、リンデロン等、店内の頓に並ぶ医薬品はすべて医療用。同薬局の売りは、ズバリ「医療用医薬品を医師の処方せんなしで一般消費者に販売すること」だ。

開設者の荒居英郎氏は薬剤師で、製薬会社のMR、薬局勤務を経て、昨年10月に薬局アットマークを開局した。医療用医薬品を処方せんなしで売るというコンセプトは、勤務薬剤師時代に思い付いたという。

「薬局に勤めている時、いろいろな事情で医療機関に行けず、『処方せんはもらっていないけど、医療用医薬品 を売ってほしい』という患者に何人も会った。でも、売れない。何とかそういう困った人たちの受け皿になれないかと思っていた」と荒居氏は語る。

荒居氏はかつて勤めていた製薬会社を早期退職制度を活用して辞めており、その時から将来の役立開局を視野に入れていた。さらに「門前薬局の方が手堅いのはわかっていたが、やるからにはこれまでにない全く新しい薬局を作ってみたい」(荒居氏)という気持ちもあった。

日本で初めてといっていい「医療用医薬品を処方せんなしで販売する薬局」は、荒居氏の薬剤師らしからぬベ ンチャー精神から生まれたのだ。

違法ではない処方せんなし販売
さて、薬局関係者の中には、ここまで読んで首をひねっている方もいるかもしれない。そもそも医療用医薬品を処方せんなしで販売することは法律上許されるのか、と。

結論から言えば法的な問題はない。現行の薬事法上では、医薬品の分類と販売のルールはおおむね21ページの図のようになっている。医療用医薬品の中には医師の処方せんや指示が必要な要指示医薬品が多数あるが、それ以外のものは、医師の指示なしで薬局が販売することは差し支えない。

ただし、厚生労働省は「医療用医薬品は医師の診断に基づいて使用されることを前捉とした医薬品であり、要指示医薬品ではなくても、医師の処方せんなどに基づき販売するよう行政指導してきた」(医薬局総務課)。このため医療用医薬品を処方せんなしで販売する薬局は実際にはほとんどなく、あってもごく例外的に細々と売っている程度にすぎなかった。

薬局が医療用医薬品を処方せんなしで販売してこなかったのには、製薬会社への“配慮”もあったといわれる。医療用医薬品とOTC薬は、同じ成分でも価格にかなりの差がある。例えば、OTC薬のガスター10は12錠で1580円(1錠当たり131.6円)なのに対し、同成分の医療用ガスター10mg錠の薬価は41.6円だ。さらに保険薬局では、処方せんを発行する医療機関の手前、処方せんなしでの医療用医薬品販売はしにくいという意識も当然ある。


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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2002年5月10日号記事

苦戦の原因はPR不足?
もちろん荒居氏はこのような事情を熟知した上で、薬局アットマークを開いた。法律で認められていながら、だれもやっていない。一方でニーズがあるのは感じる。だからこそ、ビジネスチャンスと考えたわけだ。
薬局アットマークでは言うまでもなく、医師の指示なく売ると法に抵触する娶指示医薬品は扱っていない。ゆえに販売しているのは医療用医薬品の一部だが、それでも消炎鎮痛剤、解熱剤、ステロイド軟膏剤、ビタミン製剤、消化性潰瘍治療薬、健胃剤、瀉下剤など、そこそこの品揃え。価格は様々だが、同成分のOTC薬がある薬剤で「2~5割安く設定している」(荒居氏)。

また医療用医薬品には患者向けの添付文書がなく、処方せんに基づかずに一般消費者に販売すると、副作用などが起こった場合の薬局の責任が問われる。このため同薬局は会員制をとり、入会の際に「万一の場合もあくまで自己責任とし、薬局に一切責任はない」ことなどを了解し署名してもらった上で薬を購入してもらっている。会員になるためには、入会金500円、年会費300円が必要だ。

気になる経営状態だが、今のところ芳しくない。開局半年を経過しているが、会員数は、2000人の目標に対して140人程度。荒居氏はその原因を「ニーズがないからではなく、地域の人々に薬局の存在そのものがまだ知られていないため」とみており、今後はPRに一層力を注ぐ考えだ。

地元医師会の反対意見が日医へ
ところが、ただでさえ苦戦している薬局アットマークの前に、今集客とは別の障害が立ちはだかっている。厚生労働省が今国会に提出した薬事法の改止案である。

今回の薬事法の改正内容は多岐に渡るが、その中に「要指示医薬品」を廃止し「処方せん医薬品」とするという項目がある。「現在は医師による口頭の指示も法的には認められることになっているが、医薬分業の伸展を踏まえ、『指示』を処方せんの交付に限定する」(厚労省医薬局総務課)というのが、基本的な趣旨だ。だが同時に、処方せん医薬品(=現行の要指示医薬品)の範囲を拡大し、ごく一部の例外を除き処方せん医薬品と医療用医薬品を一致させる意図もある。

これが実現すると、薬局アットマークのコンセプトは根底から崩れてしまう。そして、この医薬品分類の見直しのきっかけの一つが、どうやら当の薬局アットマークだったらしいのだ。

同県局は開局時に周辺に1万杖のチラシをまいた。また、いくつかの地方紙で取り上げられるなど、地元ではちょっとした話題になった。それが地元医師会の目に留まった。

新潟県医師会理事の五十川正矩氏は「法律違反ではないのは理解しているが、やはり釈然としないものを感じる。医師の“無診投薬”が認められないのに、薬局が販売するのは許されるとい


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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号

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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事

「処方せん薬」指定の拍子抜け
医療用“非処方せん薬"の零売はグレーなまま
改正薬事法によって、4月から医療用医薬品の「要指示医薬品」が、「処方せん医薬品」に改められた。そこには、医師の指示なく医療用医薬品を販売する薬局を規制する伏線があったが、フタを開けてみれば、ほとんど今までと変わらす。零売の是非はあいまいなまま、品目が見直されただけという結果に終わった。

ある薬局の零売用薬袋(写真左上)と薬局アットマークの荒居氏。厚労省は“非処方せん薬”の販売も、処方せんに基づくことが「原則」と通知したが…。

「一体、厚労省は何がしたかったのか」。「莫大な費用をかけて、結局、品目を見直しただけ」――。今回の薬事法改正の「処方せん医薬品」の指定に対して、そんな声が聞こえてくる。

薬事法改正の裏にアットマーク
2002年に成立した改正薬事法。すでにその多くは施行されているが、最後まで残っていたものの一つが、処方せん医薬品の指定だ。

改正点は、医療用医薬品の中の「要指示医薬品」を廃止し、新たに「処方せん医薬品」として再分類したこと。また旧薬事法時代の「要指示医薬品」では、医師の指示があれば処方せんがなくても販売、授与できたのが、改正薬事法の「処方せん医薬品」では、処方せんの交付なしに販売、授与できなくなった。さらに違反した者に対して、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金の罰則規定も加えられた。

「処方せん医薬品」の指定は、薬事・食品衛生審議会薬事分科会の了承を得て定められた指定基準(表1)にのっとって行なわれた。指定されたのは、すべての「要指示医薬品」と、これまで“非要指示医薬品”だった医療用医薬品の約半数。これにより、医療用医薬品全体の3分の2程度が「処方せん医薬品」となった(図)。

新たに「処方せん医薬品」に指定された主なものは、注射薬、麻薬製剤のほか、(1)耐性菌を生じやすい又は使用方法が難しいなど、患者の病状や体質などに応じて適切に選択する必要がある抗生物質製剤やホルモン製剤など(2)重篤な副作用等のおそれがある血糖降下剤や降圧剤など(3)本来の目的以外の目的に使用されるおそれがある精神神経用剤など――の三つ。ジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)やフェニトイン(商品名:アレビアチンほか)など、劇薬に指定されながらも要指示医薬品でなかったものなどが、見直された形だ(26ページ表2)。
厚労省では、主な改正目的は(1)実際には医師の指示によって投与されている注射薬や麻薬製剤などが「要指示医薬品」に指定されていなかったなど、現実と法とのギャップがあったこと(2)「要指示医薬品」の「指示」という言葉があいまいであるため、販売や授与には「処方せんが必要」と規定すること――の2点だと説明している。

しかしその裏には、ある薬局の存在が少なからず影響している。その薬局とは、新潟市にある薬局アットマーク。同薬局は2001年の開局以来、医療用医薬品のうち“非要指示医薬品”を処方せんなしで販売することを“ウリ”にしてきた。

大々的にチラシを配ったり、大きな看板を掲げて「医者の出す薬が買える」ことを宣伝し、一般紙などでも多く取り上げられてきた薬局アットマーク。それが、地元医師会の目に留まり、話題となり、厚労省が医療用医薬品の薬局での販売に規制をかけるために動いた。つまり今回の改正には「アットマークつぶし」という側面があったのだ。


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日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事
日経BP社 日経ドラッグインフォメーション 2005年2月23日号記事

心配された零売の全面禁止
こうした経緯から、改正薬事法成立後、調剤用薬剤や公衆衛生用薬を除いたほとんどの医療用医薬品が「処方せん医薬品」に指定され、薬局独自では販売できないようになるのではないか、と関係者の間でささやかれた。

そうなれば薬局アットマークは大ピンチだ。「一時は店を畳まなければならないのではないかと本気で考えた」と薬局アットマークの開設者である荒居英郎氏は当時の心境を語る。

だが実はこれは、薬局アットマークだけの問題ではない。というのも薬局アットマーク以外にも「零売」という形で、医療用医薬品を販売している薬局は存在するからだ。

厚労省は従前から、“非要指示医薬品”といえども医療用医薬品を、医師の指示なく薬局で販売することは好ましくないと指導してきた。しかし法的にはなんら問題はない。

実際に、九州にあるA薬局では長年、限られた品目ではあるが、零売を行なってきた。開設者のA氏は「薬局業務の一部として、OTC薬と同じように販売してきた」と話す。

例えば、医療用医薬品にしかないポンタール(一般名:メフェナム酸)は「ほかの鎮痛剤に比べて、歯痛によく効くと評判」(A氏)。夜中に、歯が痛くてOTC薬では鎮痛効果が得られなかった人に、ポンタールを販売し、喜ばれた経験は多い。

「もちろん次の日に歯医者へ行くように話すが、一晩の痛みを止めてあげられるというのは大きい」とA氏は語る。

別の地域で市薬剤師会会長を務めるB氏も、自身が開設する薬局で数種類の医薬品の零売を行なっている。「OTC薬と同じものがかなり安い値段で提供できるのだから、患者さんのメリットは大きい」(B氏)。例えばB氏の薬局では、OTC薬と全く同じ成分であるバファリン330mg錠(一般名:アスピリン・ダイアルミネート)を、10錠150円と格安で販売している。OTC薬の場合、最小包装が20錠入りなのでそんなに多く必要ないという人にも喜ばれている。

「医療用医薬品が売れなくなると、不便を感じる患者は多いと心配していた」とA氏、B氏は口をそろえる。


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財界にいがた 2002年8月号

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財界にいがた 2002年8月号
財界にいがた 2002年8月号記事
財界にいがた 2002年8月号記事

日本初!画期的な調剤薬局をひねり潰す医者のエゴ
昨年末(2002年8月現在)、新潟市に「処方箋なしでも病院の薬が買える」という薬局が開店した。もちろん国内第一号。しかし、これに待ったをかけだのは新潟県医師会。政治の力を借りた得意の手法で、潰しにかかってきたという。

これ合法なんです
「きっかけですか? 以前、私はある門前の調剤薬局に勤めていたのですが、そのときに『目薬をきらしてしまった』とか『便秘薬がすぐなくなるから多めに欲しい』という患者さんが訪ねてくるのです。そのたびに”処方箋がないと売れません“といって追い返していることに疑問を感じていました。それで”こんな薬局ができないものか“と、そこからは法律の勉強です」

昨年10月(2008年8月現在)に開店した薬局「薬局アットマーク」の代表、薬剤師の荒居英郎氏は振り返る。

薬局アットマークは、病院で出す薬を、医師の処方箋なしで買えるという、日本で唯一無二の調剤薬局だ。

もちろん全ての薬を販売できるわけではない。厚生労働省が定める「要指示薬」(医師、歯科医師、獣医師の指示がなければ販売してはいけない薬)以外のものに限られる。

どんな薬が買えるかというと、貼り薬、塗り薬、ステロイド軟こう、アレルギーの薬、水虫の薬、鼻水の薬、咳止め、痰を切る薬、胃・十二指腸潰瘍の薬、整腸剤、痔の薬、漢方薬、便秘薬、ビタミン剤、目薬、乗り物酔いの薬など。

買えないのは鎮静剤、抗不安薬、抗がん剤、抗生物質、不整脈の薬、血圧の薬、ホルモン剤、甲状腺の薬、糖尿病の薬、バイアグラなど。

それにしても、これだけの薬が処方箋なしで「合法的に」買えるというのは意外だ。これならば、利用価値は高い。

まず市販の薬より効き目の高い(成分量の多い)医療用薬品を病院に行かずに買えるというのはありがたい。「湿布薬や目薬程度をもらうためだけに、何時間も待たされるのはたまらない」と思ったことは、誰でも一度や二度あるのでは。病院と違って、土日祝日も遅い時間も営業しているので助かる。

「保険が利かないから値段が高いのでは」という疑問が湧く。確かに、何種類もの楽を2週間分など長いスパンで投薬されている患者にとっては、病院に行くほうが安く済む。しかし「湿布薬や使秘薬を少々」などという人なら、診察料を取られない分だけ安く上がる。

ましてや街頭の薬店で売っている薬(OTC)よりはかなり手頃な値段だ。

同薬局は完全会員制(入会金500円・年会費300円)を採用している。患者の使用している薬の種類を把握し、副作用と飲み合わせを防止するためだ。

ここまで徹底しても「本当にそんな薬局で大丈夫なのか」と言う人がいる。ここで売っている薬がダメなら、病院の薬もダメだということだから心配はない。用は使い方一つだろう。「開設時、保健所にはこんな薬局は許可されるはずがない、と言われました。いくら“法律的にはクリアしている”と説明しても、最初はわかってもらえませんでした。なんとか開局にはこぎつけましたが」


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財界にいがた 2002年8月号記事
財界にいがた 2002年8月号記事

なぜ今までなかったのか?
実際、この薬局は便利である。大手医薬メーカーの関係者も、その着眼点に賛辞を送る。「かなり頭のいい人だと思います。業界でもかなり話題になっていましたよ。確かに現行の法律はクリアしていますからね。薬剤師会は渋い顔をしていました。街の薬店も、こんな薬局が全国にできれば死活問題になるでしょう。メーカーとしても大いに困る。一番苦々しく思っているのはドクター(医師会)でしょうね。ただ個人的には拍手を送りたい試みです」

「要指示薬以外は処方箋なしで合法的に販売できる」というのは、医薬の業界に携わるものなら誰でも知っている。ならば、なぜ今まで誰もやらなかったのか。

「薬局側のメーカーヘの配慮が一番ですね。仁義と言い換えてもいい。街の薬店で売っているOTC薬と医療用医薬では、全く同じ成分でも価格にはかなりの開きがある。例えば、OTCのガスター10という胃薬は、医療用ガスターと同じ成分ですが、一錠あたりの単価は卸し値で3倍近い。これはどの差があれば、OTCを買う人がいなくなります」 (同)

医療用医薬品の値段は国が決定する。医療費の削減傾向にある昨今、国が定める薬価はどんどん下がっている。メーカーの原価割れという薬もあるという。そうなれば、OTCと医薬の価格差はますます大きくなる。

薬を卸してもらうメーカーサイドに気を遣うあまり、OTCと医薬を同じ土俵に上げるのを逡巡しているのが現状。「これをやっちゃぁおしまいよ」というところだ。

「それと同時にあるのは、ドクターヘの配慮でしょうね。処方箋なしで医薬品が買えれば、高い診察料を払わなくていいわけですから、こんな薬局が日本中にできたら医者は喰いぶちが減るでしょうね」(同)

最近でこそ医薬分業の言葉も一般化し、街には「どの病院の処方箋でも調剤します」などという看板を掲げた調剤薬局が目立つようになったが、少し前まで医療側は、薬の「利権」を手放すことを頑なに拒んで抵抗していた。

医者がレセブト提出で国に請求する薬の代金と、メーカーが病院に卸す薬の値段に開きがあり、その差益は病院にとって犬切な財源になっていたからだ。

医薬を取り巻く状況とは、メーカー(卸しを含む)、医者、薬局のベッタリとした支え合いにより成り立っていることは否定できない。

そこには、患者(消費者)の立場に立った姿勢などは微塵もない。もちろん国が頭を痛める医療費の問題などには耳も貸さない。


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財界にいがた 2002年8月号記事
財界にいがた 2002年8月号記事

出る杭を打つ
薬局アットマークは、一般のユーザーよりも医療業界内で大きな話題を振りまいた。応援する声よりも迷惑がる声が大きかった。ただ、法律的に問題がない以上、否定することはできない。メーカーも薬剤師会も静観するしかなかった。

しかし、“医者様”だけは徹底的に潰しにきた。

新潟県医師会では同薬局の営業形態を「問題ある動き」として日本医師会に報告し、対応を促したのだ。

これが発端となり、厚生労働省は国会に薬事法の改正案を提出。その中には「要指示医薬品」を廃止し「処方箋医薬品」を新たに設ける項目が盛られた。ごく一部の例外を除き「処方箋医薬品=医療用医薬品」ということになる。その結果、大部分の医薬品において処方箋が介在しなければいけなくなるというもの。

「これが通ってしまえば、薬局アットマークは営業できなくなります」(荒居氏)

すでに参議院は通過し、近々の国会で正式に薬事法が改正される見通しだという。

医師会側の言い分は「現行では法律違反でないが、医師に無診投薬が認められないのに、薬局が販売するというのは許せない」というものだ。

これに対し荒居氏は反論する。「無診設楽は、現在の医療現場でも当たり前のように行われている行為。それを理由にするのは理不尽です」

確かに大きな病院へ行くと「お楽だけのお客様」などと書かれた受付口を頻繁に目にする。実際、2回目以降は診察しなくても楽を出すケースが普通に存在するのだ。もちろん診察はしなくても、診察料金は払わされているのだが。

日本医師会といえば、与党自民党の強力な支持組織。その結びつきと影響力は有名だ。彼らにしてみれば、迷惑な新機軸薬局ひとつ潰すのに、政治を動かすことなど容易なのかもしれない。

「無診投薬がポイントなら、この矛盾点を突いて、まだ闘う余地があるかもしれない。存続をあきらめるわけにはいきません」(同)

新潟の一人の薬剤師が医療の現場に投げかけた波紋は、あまりにも大きかった。 


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財界にいがた 2005年6月号

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財界にいがた 2005年6月号
財界にいがた 2005年6月号記事
財界にいがた 2005年6月号記事

国会を騒がせた、新潟市の“新機軸”薬局
新潟市で営業する1件の薬局が、国会で審議された改正薬事法において焦点になった。医療用医薬品を“処方箋なし”で販売する薬局の運命やいかに?

薬事法改正で危機?
“お医者さんの出す薬、欲しくはありませんか”

こんな看板を掲げている薬局が新潟市米山にある。

“医療用医薬品(病院でもらう薬)は、医師の書いた処方箋なしでは手に入らない”と思っている読者がほとんどではないだろうか?

入手にあたって医者の処方箋(指示)が必要な医薬品は、これまで「要指示医薬品」と呼ばれてきた。

これに対し、医者の指示がなくても販売できる医療用医薬品というのは意外に多く存在する。

貼り薬、塗り薬、ステロイド軟こう、アレルギーの薬、水虫の薬、咳止め・鼻水・痰の薬、胃・十二指腸潰瘍の薬、整腸剤、漢方薬、使秘薬、ビタミン剤、目薬など。

ここに目を付けたのが、新潟市の『薬局アットマーク』。薬剤師兼オーナーの荒居英郎さんは、もともと病院の脇に軒を並べる調剤薬局の薬剤師。同薬局を開業したのは平成13年。

同薬局では、これら法律上では“売ってもいいことになっている”医療用医薬品を扱っている。まさに法律のグレーゾーンをついたうまいやり方だが、一般にとっては実に利用価値が高い。

例えば、ちょっと風邪をひいたりしたとき、市街の薬店・ドラッグストア等で扱っている市販薬(OTC)よりも、やはり成分量が多く、効き目の強い医療用の風邪薬のほうが頼もしい。しかし、多忙な人などは、医者にかかって何時間も待たされるのは億劫である。

また継続的に病院にかかっていて、ほとんど薬だけもらいに病院に通っている
ような人もいる。実際、病院の受付窓口には“お薬だけの患者さん”などと記した診察券入れがあるのをよく目にする。こうした“無診投薬”は問題ではあるが、多くの医療現場で普通に見受けられる。無診であっても診察料はしっかり取られているのだが。

薬局アットマークのように、処方箋なしの医療用医薬品を専門的に扱う薬局は、実は日本初である。そのため、開業当初は多方面のマスコミにも注目された。

そのおかげで新潟県医師会に目を付けられた。こんな薬局が街に増えれば、病院にかからない人が多くなる。最近は医薬分業制が進んでいるが、かつて薬価差益は病院の重要な財源となっていた背景もある。

同薬局の伴は総本山である日本医師会に直ちに報告され、これが発端となり、厚生労働省が提出した薬事法改正案に同案件が加えられることとなった。「要指示医薬品」を廃止し「処方箋医薬品」に改めるという案だ。これにより、今までの“グレーゾーン”を大幅に狭める狙いがあったのだ。

法案が通過すれば、薬局アットマークは、事実上営業が不可能になる。


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財界にいがた 2005年6月記事
財界にいがた 2005年6月号記事

グレーはグレーのまま
改正薬事法は平成14年にスタートしているが、最後までもめにもめ、残っていたのが、この「要指示薬」の扱いである。

それが今年4月にようやく決着がついた。

「要指示医薬品」は予定通り「処方箋医薬品」として再分類されることになった。
これまで要指示医薬品に指定されていなかった半分程度が処方箋医薬品に組み入れられた。医薬品全休の3分の2程度だという。

さて薬局アットマークはどうなったか。実はほぼ影響なく営業を続けている。新たに処方箋医薬品に指定されたのは、同薬局が取り扱っていた品目の、ほんの1割というシェアだったのだ。

言ってみれば、今後は“法改正”の影に怯えることなく、法の庇護の下で営業できることになったわけである。

それにしても新潟のたった1軒の薬局の存在が、国会論議にまで発展したことを、どれほどの人がご存知だろうか。

断っておくが、小誌では同薬局のように処方箋なしで一部の医療用薬品を販売する手法(零売と呼ばれる)を否定も奨励もしない。

しかし増大する医療費の問題が国の将来を大いに揺さぶっている現状、納税者としてどう考えるかである。こうした薬局が増え、認知定着すれば、薬だけが目的で医者にかかる人は少なくなり、医療費は軽減されるのではないか。もちろん医者は今ほど儲からないが。

法改正後、同薬局を訪ね、荒居氏の話を聞いた。「県の福祉保健部医薬国保課から職員がやってきて“厚生労働省から指導するように通達が来ている”と言われました。私は“では恒常的に行われている無診投薬についてはどうなるのですか”と言い返しました。そうしたら“その件は部署が違う。医療指導係に聞いてくれ”という始末です」

荒居氏は後日、医療指導係を訪ね、無診投薬の現状を話したが、対応した職員は“全く把握していない”との返笞だったという。

聞けば、医療用品メーカーのカタログには“お薬だけの患者さん”と言かれた診察券入れが掲載されているらしい。それほど病院の無診投薬は普通になっており“把握していない”というのは理解できない。

もちろんこれを厳しく取り締まるべきかと言われれば微妙な話。医者にかかる入は年々増えているのに、医者の数は不足している。全ての患者をしっかり診察しろと言うのは現実的に無理かもしれない。これ以上、病院の待ち時間が長くなるのも、正直、うんざりだ。

薬局アットマークヘの“圧力”は、それだけではない。新潟県薬剤師会も、やはり県の医薬国保健課を通じてクレームを入れてきたという。

某県某市では、市の薬剤師会会長が開設する薬局で、一部の医療用医薬品の零売を行っている。「患者さんのメリットが大きいから」だという。


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